「これからの防災・減災がわかる本」(河田惠昭)①

自然災害大国ニッポンの国民必読の書

「これからの防災・減災がわかる本」
 (河田惠昭)岩波ジュニア新書

東日本大震災から
すでに3年以上たちました。
あの日、私は勤務校の図書館に
生徒80名を集めて
授業を行っていた真っ最中でした。
揺れ初めてすぐ、
生徒を机の下に隠れるよう
指示を出しました。
その後、揺れは大きくなり、
図書館の天井の梁まで
大きく揺れていました。
もし天井が落ちてきたら…。
すぐ外へ出られる非常口がある、
そこから待避させようか、
それとも避難マニュアル通り
このまま机下に待機させるか、
でもそれで天井が崩れたら…。
判断に迷いながら、
揺れが大きく、全員が安全に屋外へ
移動できる状況でないため、
そのまま揺れが収まるのを待ちました。
今思い出してもぞっとします。

私たちの国は
自然災害を避けることのできない
宿命を背負っていると
言っていいでしょう。
だとすれば
いかに被害を最小限に防ぐか、
それが「防災・減災」です。
本書はそうした「防災・減災」の考え方や
基本的な行動について、
中学生にもわかるように書かれた
貴重な一冊です。

特に地震と津波については
懇切丁寧に書かれています。
プレート構造によって
地震が起こる仕組みから始まり、
津波との関連、
そして津波予報の難しさ、
だからこそ自ら判断して
避難することの大切さについて、
過去の事例をもとに説明されています。
本書が出版されたのが2008年。
東日本大震災のわずか3年前に
こんなすばらしい防災マニュアルが
出版されていたにもかかわらず、
我が国は2万人を超える
人的被害を出してしまいました。

私たちは自分たちの住む日本が
自然災害大国であることを
しっかりと認識し、
その中で生活する以上、
いざというとき、
自分と家族の命を守る算段を
していかなければならないと思います。

2014年には御嶽山の噴火もありました。
2018年には広島集中豪雨もありました。
地震、津波、火山噴火、
集中豪雨、台風…。
いつどんな災害が
襲ってくるかわかりません。
日頃から備えておきたいと
改めて思う今日この頃です。

本書はまさに自然災害大国ニッポンの
国民必読の書といえます。
本書をぜひ読んで、
皆さんも「その日」に備えておきませんか。

※本書にも死角があります。
 火山災害については
 触れられていないのです。
 本書のほかにも
 いくつか防災関連の本を
 所有しているのですが、
 地震と津波、土砂災害については
 詳細に書かれているものの、
 なぜか火山災害について
 言及しているものが少ないのです。

(2018.11.2)

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